ポーカーと一口にいっても、そのゲーム形式はさまざまです。
世界最大のポーカーイベントWSOPや、ヨーロッパ最大のツアーEPTは、このMTTの代表格といえます。
MTTの魅力は、少額のバイイン(参加費)で大きな賞金を狙えること。
また、アマチュアからプロまで幅広いレベルのプレイヤーが参加できるのも特徴です。
本記事では、これからMTTをプレイしたいという初心者の方に、MTT関連の役立つ情報をわかりやすく解説します。
MTTの特徴や戦略を知り、実際のゲームに活用してみてはいかがでしょうか。
- MTTポーカーの基礎知識
- MTTポーカーオススメハンドアレンジ
- MTTにおけるゲーム進行
MTTポーカーとは?
MTT (マルチテーブルトーナメント)とは、複数のテーブルで同時にポーカーを進行するゲームです。
参加人数は少ないゲームで数十人、大きな大会になると数千人から1万人を超える参加者になることもあります。

MTTでは、同時に全テーブルのゲームが開始され、全員が同じ参加費(バイイン)を支払ってプレイに臨みます。
チップがすべてなくなればゲームを脱落しますが、一定の時間や回数を設けて再エントリー(リバイ)できるのが一般的です。
キャッシュゲームとは異なり、ブラインドがレベルごとに上がり、プレイしなくともブラインドは没収されます。
そのため、遅刻や離席が長いとトーナメントを脱落してしまうということもあり得ます。
千人単位の参加者になる大きなMTTでは、ファイナルテーブルという決勝に残れば賞金が数千万円や億単位になることも少なくありません。
MTTポーカーのルール
MTT (マルチテーブルトーナメント)は、同じチップ数で開始し、チップが尽きるとゲーム敗退です。
最後に残った9〜10名が、ファイナルテーブルでの優勝を目指して戦います。
ブラインドは、小さなMTTでは15分や30分ごとに上がり、大規模なMMTになるほど、上がるまでの時間は長く設定されています。
またゲームの中盤くらいからアンティ(強制かけ金)も加算されます。
敗退者は制限時間内であれば再エントリーができるMTTもあり、開始時のチップ数で再挑戦が可能です。
通常MTTは適当な小休憩をはさみますが、数日にわたる大規模なMTTでは食事休憩を長時間設ける大会もあります。
MTTの賞金は、参加人数やバイインに応じて、獲得できる順位や金額が異なります。
世界最高峰とされるWorld Series of Poker(WSOP)では、優勝賞金が数十億円に達し、一攫千金のチャンスがあるため、戦略や運、忍耐力が問われる競技です。
参加費(バイイン)と賞金分配の仕組み
MTTに参加するための費用のことを、「Buy-in(バイイン)」といいます。
バイインと引き換えに、決められたボリュームのチップと交換して、トーナメントに参加します。
MTTのバイインとスターティングチップ(割り当てられるチップ)は、参加人数や規模などによりバリエーションも豊富です。
参加者のバイインの総額は、トーナメントの賞金やディーラーの報酬あるいは、開催側の手数料に充てられます。
MTTの獲得賞金は、全体の参加人数の約10%が得られるのが一般的。
たとえば、100人参加のMTTであれば、上位10人に賞金が割り当てられるという仕組みです。
上位10人の具体的な賞金内訳は、1位が約25%、2位で約15%、3位が9%というように優勝者が賞金の大部分を獲得するように設定されています。
MMTポーカーの流れ
MTTトーナメントをライブでプレイする場合、バイインの際にチップと席番号を受け取ります。
最初に、ディーラーが各プレイヤーにカードを一枚づつ配ります。
そして、最も高いカードのプレイヤーがディーラーボタン(BTN)位置を取得。
テーブルに向かってBTNの左隣がスモールブラインド(SB)、その左隣がビックブラインド(BB)です。

カードが2枚ずつ配られたら、最初にアクションをするのはアンダー・ザ・ガン(UTG )のポジションです。
基本的に、以下3つの選択肢から行動を選びます。
- コール(BBをかける)
- レイズ(BBの倍数をかける)
- フォールド(捨てる)
ゲーム進行に沿って、その都度BTNとSBおよびBBの位置はひとつづつ、時計回りにずれていきます。
ブラインドは通常、25(SB)/50(BB)からはじまり徐々に上がりますが、参加人数や進行によって上がる度合いは異なります。
プレイヤーが脱落すると、人数調整のためにテーブルを移動する場合もあるでしょう。
ゲームが進行し、あと一人脱落すると賞金圏内に入るというフェーズを迎えると、ハンドツーハンドという方法が用いられます。
脱落の可能性がある人がオールインすると、他のテーブルのゲームは停止するというルールです。
この勝負で、賞金ライン(インマネ)を1歩手前に敗退した人を「バブル」と呼びます。
高額賞金を獲得できるファイナルテーブルを目指し、プレイヤーたちは激しい競争を繰り広げます。
MTTポーカーのフェーズごとの戦略

MTTでは、序盤、中盤、終盤でプレイスタイルが変化するのが特徴です。
各フェーズごとに狙いたいポイントを掘り下げて解説します。
またMTTで生き残るための基本的な姿勢についても触れますので、ぜひ参考にしてください。
- 序盤戦略:チップの節約とプレーヤーの観察
- 中盤戦略:スタックに合った立ち回り
- 終盤戦略:ラストスパートとオールイン
序盤戦略:チップの節約とプレーヤーの観察
MTTの序盤では、プレミアムハンドと呼ばれる手札を中心にプレイしましょう。
ブラインドが低いこの段階では、チップに余裕があるため、根拠のないコールやレイズなどルースなアクションが多く見られます。
こうしたルースなプレイヤーは、タイトプレイヤーにとってはチャンスです。
フロップ前に強いハンドを選び、チップを節約することで、着実にスタックを増やすことができます。
また、自身が参加しないハンドでも、他のプレイヤーの行動をよく観察しましょう。
ハンドレンジはもちろんのこと、トークや仕草、表情などプレイヤーの傾向や癖をつかむことが重要です。
その一方で、相手には自分のスタイルを読まれない冷静なプレイを心がけましょう。
そうすることで、ブラフやアグレッシブなプレイなど、相手の弱点を突くゲーム展開ができるようになります。
中盤戦略:スタックに合った立ち回り
MTTの中盤では、ブラインドの上昇に合わせた立ち回りをする必要があります。
ここで注目したいのが、スタック(チップ)の量です。
アベレージ(平均)の2倍持っていればビッグスタック、20BB程度ならショートスタック。
ビッグスタックは、ショートスタックの相手にプレッシャーをかける攻撃的なプレイでさらにチップを増やすことができます。
ショートスタックは、プレミアムハンドやポジションなどのタイミングを見極めオールインするチャンスです。
勝ち抜けば、チップをダブルアップ(倍にする)できるため賞金圏内への生き残りが期待できるでしょう。
さらに、チップを増やすためには他のプレイヤーの傾向に合わせなければ効果がありません。
プレイヤーの特徴に合わせたタイミングを見計らった進行をすることで、効率的にチップを獲得できます。
終盤戦略:ラストスパートとオールイン
MTTの終盤では、入賞を意識したプレイが重要です。
誰しも、賞金圏内の一人手前でゲームから脱落する「バブル」になるのは避けたいもの。
この段階では、ショートスタックのオールインが頻発します。
たとえば、ミドルスタックであれば、ショートスタックには攻撃的に、ビッグスタックとの直接対決は避けるなど、相手のチップ量でゲーム進行をするのがベター。
長時間のプレイによる疲労が見え始める終盤は、高い集中力と状況への適応能力も問われます。
テーブルの雰囲気や他プレイヤーの疲労度も考慮に入れ、適切なタイミングで攻撃的なプレイを仕掛けることが効果的です。
バブルを回避できたら、より上位の順位を目指して、リスク管理とアグレッシブなプレイをバランス良く仕掛けましょう。
ファイナルテーブルを目指し、ラストスパートと適切なオールインの判断が、MTTでの成功の鍵となります。
MTTポーカーのフェーズごとのハンドレンジ
MTTにおけるハンドレンジとは、トーナメントの特定の状況に応じてプレイするハンドの選択肢のことです。

MTTの序盤、中盤、終盤という各フェーズに適したハンドレンジの使い分けができると、勝率の向上が期待できます。
まずは、基本となるフェーズ別のハンドレンジを解説しますので、そのパターンを覚えておきましょう。
ハンドレンジは、ゲームの状況やスタック量、相手のアクションに合わせて上手に使い分けるのが理想的です。
- 序盤ハンドレンジ:プレミアムハンドの選択
- 中盤ハンドレンジ:広いレンジ
- 終盤ハンドレンジ:リスクを取り入れたアグレッシブなプレイ
序盤のハンドレンジ:プレミアムハンドの選択

序盤のMTTでUTG(EP・アーリーポジション)の位置の場合、選びたいハンドは茶色で示したプレミアムハンドです。
確率は全体のハンドのうち色がついた部分の割合を示しています。
AAから斜めのラインに表示のハンドは「ポケットペア」と呼ばれJJ以上は「ハイペア」、77〜TTを「ミドルペア」、それ以下が「スモールペア」といいます。
上段の横に並ぶ小さなSのついたハンドは「スート」と呼ばれ、マークが同じものの組み合わせです。
その反対に縦列のOが記載された「オフ・スート」と呼ばれるハンドは、別のマークの組み合わせを示しています。
プリフロップにレイズするべきハンドとして推奨されている手札です。
中盤のハンドレンジ:広いレンジ
中盤のMTTで選ぶべきハンドは、広範囲にわたります。
その理由は、ブラインドの大きさや自身が保有するスタックによって戦略が大きく異なるからです。
チップの差が激しくなる中盤では、プリフロップで相手を降ろせるかヘッズアップ(1対1の対戦)にもち込めるチャンスも多く、攻めのプレイが求められます。

UTGポジションで迎えたハンドが表の茶色であればレイズ、黄色はコールでフラップへ進む推奨ハンドです。
また、ミドルやビッグスタックの場合、BTN (ディーラーボタン)であれば、強いハンドでオーバーコール(レイズされたハンドをコール)やスクイーズ(レイズされたハンドをさらにレイズ)するという戦略も勝率を高めます。
以下がその判断基準となるハンドレンジです。

コールするかスクイーズするかの判断は、相手のスタック量、ポジション、ブラインドなど多くの要因により効果も異なります。
MTTの中盤では、フリップが開いた後のフローについてもシュミレーションしながら最適なアクションを実行できるのが理想です。
終盤のハンドレンジ:リスクを取り入れたアグレッシブなプレイ
MTTの終盤にさしかかると、バブルフェーズに直面します。
ショートスタックは、賞金圏内に入るためにオールインの決断を迫られます。
また、ビッグスタックは、無理なレイズやスチールには介入せず、ポジショニングを生かしたアグレッシブなプレイが要求されます。
推奨されるハンドレンジは、プレミアムハンドやスート、高カードのコネクター(TJ、JQ、QK、AKなど)があげられます。
ただし、これらのハンドはチップのスタック量によりプレイ方針も異なります。
MTT終盤で最も問われるのは、どのポジションで何をどのようにプレイするかという総合判断力です。
ハンドレンジだけにとらわれず、柔軟にプレイできる実力を養うことが重要といえるでしょう。
MTTポーカーで勝つためのメンタル管理
MTTポーカーで勝つためにはメンタルの管理が重要です。
集中力を高めるためのトレーニングやスキルを発揮するために生活リズムを整えることも肝心。
感情的にならず冷静なプレイを実践するための心得を解説します。
- 集中力を維持するためのメンタル準備
- 失敗から学ぶ心構え
- トーナメント中のリフレッシュ法

集中力を維持するためのメンタル準備
MTTは参加人数によっては、全日あるいは数日間にわたる長期戦になることもあります。
集中力を保ちながら長時間プレイするのは容易ではありません。
MTTの前にはしっかりと睡眠を取り、ゲームに集中できる体力を備えておきましょう。
また、好きな音楽を聴きながらリラックスしてプレイすることも、集中力を高めるための有効な方法です。
失敗から学ぶ心構え
MTTポーカーでは、メンタルをどれだけ冷静に保っていられるかが鍵となります。
負けたハンドの後悔を試合中にいつまでも引きずっていると、プレーに悪影響を及ぼします。
失敗による落胆の気持ちを切り替え、失敗から学ぶ姿勢が、トーナメントを勝ち進むための重要なマインドセットといえるでしょう。
トーナメント中のリフレッシュ法
MTTでは、ゲーム進行の60〜120分ごとに休憩を設けているのが一般的です。
ライブMTT、オンライン共に、休憩ではテーブルから離れリフレッシュする方法を取り入れましょう。
栄養補給のドリンクや軽食はエネルギーの充填に役立ちます。
また軽い散歩やストレッチなどで血液循環を促すと、脳をすっきりさせる効果があります。
さらに、自分のプレイを見直し、新たな戦略を立て直すリセットタイムにも有効。
休憩後のプレイに集中するためにも、休憩時間をできるだけ効率的に活用しましょう。
オンラインMTTポーカーとライブMTTポーカーの違い

オンラインMTTとライブMTTでは、さまざまな違いがあります。
プレイの際にぜひ参考にしてください。
- プレイ環境の違い
- プレイヤーの傾向
- 入場制限と参加費(バイイン)の違い
プレイ環境の違い
オンラインMTTとライブMTTでは、プレイする環境が異なります。
オンラインMTTは、自宅や好きな場所から参加できます。
ネット環境さえ整えば、プレイする物理的環境に左右されることが少ないのがメリットです。
一方で、ライブMTTでは、カジノやイベント会場に出向く必要があります。
ネットと比べ時間や環境の拘束がありますが、相手ありきの対戦を味わえるため臨場感のあるプレイを体験できます。
プレイヤーの行動パターン
オンラインとライブのMTTでは、プレイヤーの行動パターンも異なります。
オンラインMTTでは、マルチテーブルでプレイする人も多く、戦略的でスピード感を求められます。
一方ライブMTTは、対面での心理戦の要素が多く、プレイヤーの表情や行動から傾向を見抜くスキルが問われます。
また匿名性の高いオンラインでは、リスキーなプレイのプレイヤーが目立つ反面、ライブでは自制心を求められるという秩序の違いもあります。
入場制限と参加費の違い
入場制限や参加費にもオンラインMTTとライブMTTには違いがあります。
オンラインでは、比較的低いバイインのトーナメントが多く、初心者でも参加しやすいのがメリットです。
カジノが主催するライブMTTでは、イベントの規模によりバイインに幅があります。
デイリートーナメントのような常時開催のMTTは、数十ドルで参加できますが、世界的な大会になると、数十万ドルに達する高額のMTTも存在します。
ゲームの種類や形式
オンラインMTTとライブMTTでは、ゲームの種類と形式が若干異なります。
オンラインでは、高速MTTやブラインドが特殊といった独自のトーナメントも増えています。
賞金目当てだけでなく、気軽に楽しめるアミューズメント性が高いのが特徴です。
一方ライブMTTでは、カジノのスケジュールに依存するほか、設営やカジノディーラーなどの人為的要因から伝統的なスタイルをキープする形式が多くなっています。
MTTポーカーの人気トーナメント3選
MTTポーカーの中でも、世界的に有名なトーナメント3選をご紹介します。
MTTの特徴についても触れていますので、これからMTTに挑戦という方はぜひ参考にしてください。
- WSOPメインイベント
- PokerStars Sunday Million
- PT(European Poker Tour)
WSOPメインイベント:ポーカー界の最高峰
World Series of Poker(WSOP)は、ポーカー界で最も権威ある大規模イベントです。
毎年ラスベガスで開催され、$10,000(約140万円)のバイインで参加するメインイベントはポーカープレイヤーなら一度は体験したい最高峰。
2024年大会は過去最高となる10,112人が参加し、優勝賞金は約17億5000万円に達しました。
伝統と名誉、そして高額賞金を求めて、毎年大勢のプレイヤーがこの夢の舞台に挑戦しています。
PokerStars Sunday Million:オンラインの代表格
PokerStars Sunday Millionは、毎週日曜日に開催される人気のオンライントーナメントです。
$109のバイインで$1,000,000の保証賞金プールを提供し、世界中のプレイヤーが参加可能。
サテライトゲームも多数あり、アマチュアでも大きな賞金を狙えるオンラインのMTTとして、多くのポーカーファンに人気があります。
EPT (European Poker Tour):ヨーロッパ最大のツアー
European Poker Tour(EPT )は、2004年に創設されたヨーロッパ最大のポーカートーナメントシリーズ。
バルセロナ、プラハ、モンテカルロなど魅力的な都市を巡り、メインイベントは通常€5,300(約84万円)前後のバイインで開催されます。
世界中のトッププレイヤーが集まる一方、多彩なサイドイベントも用意され、幅広いレベルのプレイヤーが参加するのも特徴。
20年以上の歴史を持つEPTは、ポーカー界で最も歴史あるMTTの一つとして知られています。
MTTまずはオンラインポーカーで習得しよう!
MTTポーカーの魅力を体験したい方は、まずオンラインから始めるのがおすすめです。
24時間いつでもプレイ可能で、多くのハンドを効率的にプレイでき、戦略やハンドレンジの理解を深められます。

またオンラインでは、ライブMTTへのバイインを獲得できる企画もあり、ライブ遠征へのチャンスも広がります。
今回の記事を参考に、MTTへの理解を深め、MTTマスターへの第一歩をオンラインポーカーから踏み出しましょう。